全財産を寄付して手放すことはできますか?

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全財産を寄付して手放すことはできますか?
もし出来るとしたならば、一体どこへ寄付しますか?

 

これは、34年かけて遂に

「80億ドルの財産を全て手放し無一文になった」

チャック・フィニー氏の信じられないようなお話です。

2016年、彼の創立したチャリティー基金が
最後の資産を寄付金として手放しました。

巨額の富を手放す過程で、チャックは
ビル・ゲイツやウォーレン・バフェット
にとってヒーローとなり、
彼らに次のように賞賛されました。

「チャックは僕らの世代の人間のみならず
若い世代の人たちにもお手本を示したんだ。
これから100年、いや200年経っても、
彼の素晴らしい行いは人々のお手本に
なり続けるだろうね」

「彼こそ私のヒーローさ。
ビル・ゲイツにとってもヒーローだよ。
彼こそみんなのヒーローになるに相応しい人物だよ」

 

では、チャックが80億ドルという
巨額の富を築き、そして寄付金として
手放すに至るまでを3つのステップで
お話ししましょう。

 

ステップ1)お金を稼ぐようになる以前から、既に寄付すると決めていた。

チャックは大恐慌の時代、
1931年に貧しいアイルランド人の
家庭に生まれました。

雪かきをしてクリスマスカードを
家々に売り歩き、家族の生活費の
足しになるようにと働きました。

若くして貧困状態の中、あるとき
彼はアンドリュー・カーネギーの
論文「富の福音」を読みました。
アンドリュー・カーネギーのこの論文は、

「命あるうちに、資産を慈善事業に使う
ことに人生を費やすべきである。
自分の資産を自分が生きているうちに
人を助けるために使うこと。」

と説き、多くの資産家に気付きと影響を与えました。
「命あるうちに与える」
ーこの言葉に深い感銘を受けたチャックは、

「自分の支払いの為に小切手を書くのはもう終わりにしたい」

と言い、まさにこの時、

「人に与えるために財を築く。そのために自分の人生を使う。」

と心に決めたのでした。

ステップ2)世界を旅した。

朝鮮戦争の最中、十代だったチャックは
米空軍に入隊したのですが、
軍人が必要物資を調達するのが非常に
困難であるという事態に直面しました。
そこで彼は、軍人が必要とする物資を
輸入して売るというビジネスを始めました。

その時
「エアサイドに店を構えれば税金が発生しない」
ということに気付きました。

こうして彼の会社「Duty Free Shop(免税店)」が誕生したのです。

空港のDFS(免税店)でお買いものをしたことはありますか?
あれがチャックの会社です。
チャックは 既に会社を設立していたので、
全ての収益は彼が創立した大西洋慈善基金に
納められました。

そうすることで、会社の収益を毎年慈善事業に
寄付するしくみ作りができたのです。

こうして会社の収益は、世界中の保険事業、
教育事業、人権慈善事業に寄付されました。
チャックは1996年にDFSを売却し、
彼の基金が全ての収益を吸収し、
20年以内に、そう、2016年までに
寄付金として残りの全ての資産を
使い切ると決めたのです。

最後の資産を手放す頃には、
これまで寄付した総額は
80億ドルにもなっていました。

ステップ3)そして、全てを手放した。

ではチャックはどうなってしまったでしょうか?
裕福な生活が送れるくらいの資金は
手元に残しておいたのでしょうか?

現在85歳のチャックは、
家も車も所有していません。

彼は今も15ドルで買った時計を
していることで有名で、ビニール袋に
書類を持ち歩いています…。

チャックは次のように言っています。

「いつだって、まるで何もお変わりないかのように、
普通に過ごすように努力してきたよ。
人はきっと“大富豪のあなたならロールス・ロイス
(高級車)だって買えるでしょうね”
なんて言うかもしれないけれど、
自転車に乗れるというのにどうして
ロールスロイスを買う必要があるんだい?」

チャックは銀行の貯蓄残高で
自分の成功を測るのではなく、
自分の幸福感で成功を測りました。

「どういう時に幸せを感じますか
ってよく聞かれるけれど、
私は自分のやっていることが
何か人の助けになっている時に
幸せな気持ちになるよ。
自分のやっていることが
人助けになっていない時に
幸福感を感じることは難しいね。」

 

2016年にチャックの寄付活動は
幕を閉じましたが、同時に彼の
大いなる遺産の幕開けとなりました。

彼のストーリーに感化された
ビル・ゲイツもまた自身の財産を
寄付に投じたのです。

ビル・ゲイツはGiving Pledgeという財団を設立し、
今ではリチャード・ブランソンをはじめ、
マーク・ザッカ―バーグ、イーロン・マスク、
ティム・クックなどその他大勢の、

「生きている間に財産の大半を寄付する」

と誓った142名の世界の大富豪が在籍しています。

ビル・ゲイツはチャックを
「新たな時代の鏡となるような人」
と仰ぎ次のように語っています。

「チャック・フィニーは他に類を見ない
本当に素晴らしいロールモデルで、
”命あるうちに善行のために与える”
という考え方をどのように実行したら
いいのかということの素晴らしい
お手本となる人物だよ。」

 

「自分が想像すよりも遥かに大きな
使命のために自分の資金や富を使うことができる」

「富を人助けに使う」

という考え方を持って過ごしたならば、
どんな変化があるでしょうか?

まだ稼いでいないそのお金を、
あなたはどこに寄付したいですか?
こうした視点で考えてみるとあなたの
「目的」や「決意」はどう変わりますか?

心に浮かんだその思いを、
いま決断してみましょう。

そうすれば
「自分にお金が入ってくること」
よりも
「自分を通してお金が必要な場所に届くこと」
に目を向けることができるはずです。
「二つの足には一足の靴しか履けません。
”持てるもの”に限界はありますが、
”人に与える”ことに限界などないのです。」