TEDに学ぶ「伝え方×ブランディング×マーケティング」
今日は、TEDに学ぶ、
「人を魅了する伝え方」
という非常に実践的なお話です。
さて、あなたは
“ゴールデンサークル”という
言葉をご存知ですか?
ゴールデンサークル理論とは、
マーケティングコンサルタントの
サイモン・シネック氏が提唱した理論。
少し前の話になりますが、
2009年のTEDスピーチ、
「優れたリーダーはどうやって
人の行動を促すか」
の中で提唱し有名になったので、
ご存知かもしれません。
このゴールデンサークル理論は、
伝え方はもちろんのこと、
ブランディングやマーケティングにも
活用できる考え方です。
今日は、この先の記事で、
具体的にどう活かしていくのかを
ご紹介しています。
●ゴールデンサークル理論とは?
ゴールデンサークル理論とは、
簡単に説明すると、
以下の画像のように、
3つの内容で構成された考え方です。
- WHY:「なぜ」
- HOW:「どうやって」
- WHAT:「何を」
内側から外側に向かって
WHY→HOW→WHATの順番で
物事を説明する時の考え方です。
この“内側から外側”がポイントです。
多くの人は、
これを外側から考えて、
WHYの部分は伝えずに、
自分の言いたいことだけを言って終わる。
なぜ、こんなことが起こるかというと…
「WHAT=何をしているか?」
これが最も自分に近い話で、
自分のことで、わかりやすいからです。
そして、
HOW=どうやってやるか?も、
理解している人は多いです。
ただ…
肝心のWHYの部分が抜け落ちている人を
多く見かけます。
数字や理論などの説明も大切ですが、
人の心を動かすのは感情であり、直感です。
「WHY」の部分から話をすることで、
直感的に共感を生みます。
Appleのプレゼンでも
このゴールデンサークル理論が使われています。
YouTubeで、
Appleのプレゼンを見てみてください。
自分の商品説明である
「HOW」や「WHAT」よりも先に
「WHY」を伝えています。
さて、このゴールデンサークル理論の
概要がわかったところで、
実際にこれをどう使うのかを
ジョン・F・ケネディの
アポロ計画のスピーチを例に
お伝えしていきます。
●ゴールデンサークル理論を使った伝え方
相手に響かない伝え方をする人たちは、
常に主語が自分です。
常に自分の話しかしません。
例えば、
−−−−−−−−−−
【WHAT「何を」】
↓
「我々は素晴らしい講座を作っています。」
【HOW「どうやって」】
↓
「誰でも簡単にテンプレートに
当てはめるだけで売上をアップできます。」
【WHY:「なぜ」】
???
−−−−−−−−−−
と言ったように、意図的でないと、
「WHAT」→「HOW」→「WHY」の
順番で話をすることがほとんどです。
最後にWHYを言えればいいのですが、
ほとんどの場合は、
WHYが抜け落ちています。
その理由は、
「いい商品だから、
より多くの人に知ってもらいたい!」
という、自分と商品が、
自己同一化した状態にあるからでしょうね。
だから、ついつい商品自体の
魅力を伝えることに夢中になってしまい、
- なぜその商品を作ろうと思ったか?
- それによって世の中のどのような課題を解決したいと思っているか?
を語ることがほとんどないと思います。
では、実際に人を巻き込み
魅了する人の伝え方は、
どうなっているのか見ていきましょう。
●伝説のムーンスピーチ
ジョン・F・ケネディが、
1961年に打ち出したアポロ計画を
世の中に伝えるための
有名なスピーチの話です。
アポロ計画を最初に発表した際、
多くのNASA職員は、
宇宙計画の縮小を覚悟していたそうです。
その時のスピーチを、
ゴールデンサークル理論で解説すると……
−−−−−−−−−−
【WHY:「なぜ」】
現在の人類が挑戦するミッションの中で
最も困難なものであり、
それゆえにこの計画の遂行によって
アメリカ及び人類にとっての
新しい知識と発展が得られる
↓
【HOW:「どうやって」】
民間・政府を問わず、
領域横断的にアメリカの科学技術と
頭脳を総動員して最高レベルの
人材、機材、体制を整える。
↓
【WHAT:「何を」】
10年以内(1960年代中)に人類を月に立たせる
−−−−−−−−−−
このようにWHYから説明を始めることで、
直感的に訴え人々の共感を生み、
熱狂的なファンの獲得につながり、
圧倒的な支持を得たそうです。
このゴールデンサークル理論を使うことで、
自分は「何を伝えたいのか?」
「なぜそれを伝える必要があるのか?」
これらが明確になり、
本質を整理することができます。
伝え方の話をすると、
「自分の言いたいことがまとまりません。」
とおっしゃる方が
非常に多いですが…
言語が明確でない理由は、
ただ一つです。
自分の思考が
整理されていないからです。
思考が整理されると、
伝えることもシンプルで
明確になります。
●ウェルスダイナミクス的に言うと……
このゴールデン理論を
ウェルスダイナミクス的に解説すると、
WHYは、水の位置です。
具体的にいうと、
存在意義や、使命、目的です。
どの周波数も共通認識で
この「WHY」を持っておかないと、
今どこに向かって進んでいるのか?が
わからなくなり、結局やっていることが
目的からズレるということにあります。
例えば、部下に何か伝えるとき、
ダメな上司は、
−−−−−−−−−−
【WHAT「何を」】
「この書類の数字をまとめ上げて、
提案書を作って欲しい。」
↓
【HOW「どうやって」】
図とかグラフとか使った
提案書でお願いね。
−−−−−−−−−−
と言った感じで、
WHYを一切伝えない。
これは、
ダイナモあるあるかもしれません。
WHYは常に自分の中にあるので、
当たり前すぎて伝えることを忘れる…
でも指示を聞いた側は、
どんな目的を持って、
何をどのように伝えるための
報告書なのか?がわからない。
そして、
意図したものが出来上がらず、怒る。
という負のスパイラルです。
では、どうしたらいいのでしょうか?
−−−−−−−−−−
【WHY:「なぜ」】
この案件は、お客様にとっても、
うちの会社にとっても新しい挑戦となる
↓
【HOW:「どうやって」】
現状、A社が提示した書類は、
数字的根拠が乏しいので、
うちはもっと説得力を意識して
数字をまとめ上げて欲しい
↓
【WHAT:「何を」】
図やグラフを活用して
視覚的に見やすい提案書を作ってくれる?
−−−−−−−−−−
と伝えれば、やる理由もわかって、
モチベーションもアップすると思いませんか?
プレゼンの時だけでなく、
何か相手に伝えるときに、
- WHY:「なぜ」
- HOW:「どうやって」
- WHAT:「何を」
この順番を意識してみてください。
それだけで、
相手の反応が変わりますよ。
ちなみにこのゴールデンサークル理論は、
ブランディングやマーケティングにも応用すると、
あなただけの唯一無二の
物語を作ることができます。
その話は、また次回にお伝えしますね。
浅山 佳映子(クリエイター)