スマートフォンに搭載されているプロセッサーは誰のおかげなんでしょう?

私達の使用するスマートフォンに搭載されているプロセッサーは
誰のおかげなんでしょう?

答えはソフィー・ウィルソンです。

元々は男性で、ロジャー・ウィルソンとして生まれました。

彼女の設計したARMチップは500億を超える機器にインストールされ
今週ARMホールディングスはソフトバンクに320億ドルで買収されました。
ソフィーの成功への驚くべき旅はどのようなものだったのでしょうか?

arm

1)あなたの最初の顧客

全ては彼女が最初の製品を制作することから始まりました。

ハロゲートに住む農家の方のために作った、牛用の電動餌やり器です。
それはケンブリッジ大の同輩でもあるハーマンハウザーを惹きつけました。
彼は、イギリスのギャンブル用機器製造会社から
スロットマシーンが間違えてお金を支払ってしまわないようにするチップを
開発することを頼まれていました。
ハーマンはこの取引の経緯をこう説明しています。

「正直言って、私は自分が提供する技術や考えに
どの位の金額を請求するべきか、検討もつきませんでした。
私はちょうどケンブリッジで博士号を取得した所で
お金が入る仕事などありませんでした。」

「ですがどういうわけか、その仕事に関わることだけで1000ポンドを
そしてさらに私の技術を取り入れることで
さらに追加で1000ポンド請求しようと思いました。
私たちは最初の交渉で3000ポンドを稼ぎました。
そして、私たちは今までとは全く違う新しいデザインの
エレクトロニクスの核となるようなボックスを3000ポンドで開発し
約2000ポンドの利益がありました。」

これが、エイコンコンピューターの最初の製品となりました。
そして、それはソフィーがハーマンに他のチップに関する
彼女のアイディアを伝えることにつながりました。
そのアイディアには、ユニークな8ビットコンピュータも含まれていました。

 

ソフィーはその頃を思い出し、

「彼は、それってちゃんと動くんですか?と聞いてきました。
私は、あたりまえじゃない、と答えると、彼はそれを作って欲しいといいました。
それは後にエイコンシステム1となりました。」

エイコンは最初の100ポンドから100万ポンドそして1億ポンドへと成長しました。

 

 

2 あなたの一番のパートナー

ソフィーはエイコンの最初のチップコードARM1を
同僚でそのチップの設計を手がけていたスティーブフーバーと書き始めます。
素晴らしいチップであったにもかかわらず、エイコンコンピュータの売れ行きは
芳しくありませんでした。
それでは、どうしたか?

 

敵を味方につけました。

 

1990年、エイコンとアップル社は新しい会社、ARMを創業し
お互い43%のシェアを持ちました。目的は、プロセッサーを作ることではなく、
ソフィーが初めに開発したプロセッサーのコードをライセンス化することでした。
エイコンが会社をたたんだ一方で、そのチップデザインをライセンス化し
パートナーシップを組んだ決断は、その後25年の間
ARMチップを世界のテクノロジーの波に乗せました。

ソフィーは、

「2008年、私たちは100億のチップの販売に到達し
私とスティーブはお互いを見つめて、”なんだか変ですね?”と話しました。
地上で全ての人に1つ以上行き渡るなんて。」

と。ですが、それは”変“を通り越していました。
考えられないような数字でした。

今日、500億を超えるデバイスがARMプロセッサーを使用しています。

「そのほとんどが、過去4,5年の間に売れたものなんです。

なので、ほとんどが今でも使われています。」

 

現代のスマートフォンはその殆どがARMチップを内蔵しています。

ですが、同時にARMプロセッサーがWIFIを制御し
またブルートゥースを制御しているものもあります。
ラップトップコンピュータにも同じことがいえます。
ラップトップコンピュータを購入した際、それには誇らしく”インテル”の名があったでしょう。
ですが、それはARMプロセッサーが内蔵されているんです。
1つはハードドライブに、ほかはキーボードにと。
世の中には、目に見えないARMがたくさん存在しているんです!“

 

3)あなたの最初の投資家

ハーマンハウザーはソフィーが辿った全ての段階において資金を援助し、支援し
のちにイギリスのテクノロジー投資者の先駆けとなりました。
彼らの成功について、ハウザーは、“500億以上のチップを世の中に送り出しました。
7つのARMチップを地球上すべての人が持っていることになります。
伝説を作ったようなものです。

“ARMはロンドン証券取引所に上場し、ロンドンの数あるテクノロジーの会社の中でも
その市場価値において、最大となりました。
そして、そのチップはサムソンやアップル
世界中のほとんどのスマートフォンに使用され
IOTという巨大市場で増え続けている機器にも使われています。

今週、ソフトバンクはARMを現金320億ドルで買収することを発表しました。
そして、日本で最も有名なテクノロジー投資家の孫正義は、

 

「これは、我々が今まで行ってきた中でも、最も重要な買収の1つである。」

と語りました。
また、アジアが行うイギリス投資の中では最大のものとなり
EU離脱後の新大蔵大臣にあたるフィリップハモンドは
このニュースを取り上げ、こう述べました。

 

「これは、国民投票のわずか3週間後に、
イギリスは国際投資家に対しての魅力を全く無くしていない
ということを証明しました。」

 

ソフィーはテクノロジーの歴史上最も重要な女性15人に選ばれ
ローヴィ生涯功績賞(Lovie Lifetime Achievement Award)を受賞しました。

 

高速道路3レーン

多くのクリエイターや起業家が、成功へのレーンをたった1つしか築かず
それが後に大きな問題となっていることが多くある一方で
ソフィーの過去30年以上に渡る投資家としての旅は
高速道路に3つレーンを持っているかのようでした。

つまり、顧客を増やし、パートナーや
投資家たちを同時に増やしていったのです。

 

あなたはご自身の高速道路に3つのレーンを作っていますか?

あなたの次の顧客、パートナーそして、投資家を惹きつける次のステップは一体何でしょうか?
そして、どうすれば、ソフィーのようにそのレーンが
地球規模のインパクトを起こすことができるでしょう?

 

1つの良いアイディアが何百ものアイディアに増えていくような。

“お金を分けると、半分に減るが、アイディアを分かち合うと、倍になる。”