あなたは“運”というものを信じますか?
今からお話するのは、
34歳のウイリアム・タヌウィジャヤさん(以下、ウィリアム)が、
インドネシアでは初となる
10億米ドルの“ユニコーン*”を立ち上げ、
数々の幸運な偶然によって、
彼が一番必要な時に、
1億米ドルの資金を調達できた、
という信じられないようなお話です。
*企業価値が10億米ドル以上の未上場のプライベート企業
ウィリアムが10代のころ、
彼の父親はスマトラから
ジャカルタ行きの片道切符を、
家族用の貯金を使って購入し、
将来今よりもっと良い生活を
手に入れて欲しいという思いから、
ウィリアムをジャカルタに送り出しました。
彼は大学に入学し、
学費を払うために三年間、
ネットカフェで夜間12時間働きました。
この間、彼はインターネットを探索しながら、
自分の会社を立ち上げることを思いつきます。
それは、2009年、インドネシア初の
オンラインマーケットプレイスとなる、
トコペディアというものでした。
よかったことはトコペディアは、
立ち上げ初日から成長し始めたことです。
しかし残念なことにその当時、
インドネシアには新規事業に対する
出資など存在しませんでした。
ウィリアムは、出資者を探していた
時の苦労を思い起こし、こう語ります。
「私はこんなふうに言われました。
ウィリアム、無駄なことはやめておけ。
アマゾン、フェイスブック、グーグルを
始めた奴らはみんな特別なんだ。
お前は違う、と。
でも私はその瞬間、自分を絶対に
諦めないと決めたんです。」
ちょうどその頃ウィリアムには、
採掘会社への投資から、
わずかな利益がありました。
そのおかげで、彼は資金調達に
時間をさくことができました。
そして会社をスタートさせてから
5年後の2014年、とうとう
彼に運が舞い降ります。
幸運な出来事が次々と起こり、
1週間もかからずに、彼は
1億米ドルを調達することができたのです。
ウィリアムは当時をこう振り返ります。
——
私には7年間、遠距離恋愛の彼女がいました。
彼女は医学を学び、卒業と同時に、
日本へ言ってみたいと言い出しました。
そして、私も休暇をとって一緒に行こう、
と誘われました。
ですが、私は断り、彼女にこう伝えました。
“今はトコペディアのことで頭が一杯で、
休みなんか取れない、
現金が11月には尽きてしまうかもしれないんだ。”
でも、実は密かに、私は
日本行きのチケットを購入していて、
5年間で初めて休暇を申請し、
彼女の両親の承諾を得て、
10月1日に大阪でプロポーズを
しようと計画していたんです。
9月の終わりに、
ソフトバンクから電話がありました。
孫さん(孫正義さん、アジアの投資家の先駆けであり、
日本の大富豪の1人)が10月の初めに私に会いたい、
と言うのです。
インドネシアでは、ビザの取得に5日間かかりますが、
その時点では、お会いする日までに、
すでに5日を切っていました。
ですが、私にはもうビザもチケットもあったのです!
それから、9月30日に
私の会社の株主の1人から
セコイア・キャピタルの人と会ってほしい
と依頼がありました。
その次の日、セコイアの事業パートナーの
方から私に会いたいと電話がありました。
私は今から大阪へ行くのに空港に向かって
いるんですと話しました。
大阪についた時、
その事業パートナーの方もいて、
私と同じ便にのり、結局私たちは
一日中話をすることになりました。
もう少しで、彼女へのプロポーズを
忘れてしまうところでした!
その後、無事プロポーズをして、
彼女は承諾してくれました。.
次の日、私は東京へ向かい、
そこで孫さんにお会いしました。
その週、3つの申し出(プロポーザル)がありました。
その後何が起こったかは、皆さんも御存知のとおりです。
——
ウィリアムは結婚し、一億米ドルを
ソフトバンクとセコイアから調達。
そして、それは資金調達額としては
アジア最大規模となりました。
トコペディアはセコイア・キャピタル
によるアジアでの最初の出資となり、
この事は、インドネシア、シンガポール、
マレーシアに投資の波を引き起こす
きっかけとなりました。
今年4月、ウィリアムはまたもや
1億4,700万米ドルという資金を調達し、
今日、トコペディアは10億米ドル以上
の価値ある会社となりました。
ある人は、運とはまったくあてにならない
ものだと考え、またある人は、
”準備がチャンス(機会)と
合った時に起こるもの”
と考えます。
私は、運とは“運良く“正しい時間に、
正しい場所にいて、
ゴールができる偉大なサッカー選手を
創る4つの要素と同じである、と考えます。
場所(Location)
正しい時に、正しい場所にいなさい。
そうすればあなたには、宇宙からの恩恵があるでしょう。
私たちの大半は、間違った時に、
間違った場所にとどまることばかりに気を取られているからです。
理解(Understanding)
ゲームはすでに始まっている事に気が付きなさい。
つまり、ボール(機会)を求め、
もしそれがあなたの元へ来た時には
行動を起こしなさい、と言うことです。
つながり、人間関係(Connections)
あなたがどれだけ良い選手でも、
フィールドにあなた以外誰もいなければ、
ボールは永遠に回ってきません。
チームで正しい人を周りにおくようにしなさい。
知識(Knowledge)
練習をし続けなさい。
ゴールを決めることができるのは、
ボールが回ってきた時に、
どう蹴ったらいいのかをわかっている人だけです。
Location, Understanding, Connections, Knowledge = L.U.C.K.
この4つの言葉の頭文字をとると“運”となりますね。
この原則に従えば、あなたはもっと運が良くなるでしょう。
それは幸せな結婚をする、
1億ドルの価値のある、
というような運ではないかもしれません。
ひょっとしたら、今までとは違った種類の運かもしれません。
そしてそれは、今よりもっと素晴らしい運なのかもしれません。
「シンクロニシティとは、
それを見ることができる者にとっては、
つねに目の前に存在する現実である。」
~カール・ユング